今回のロンドン印象派オークションでアジア勢とりわけ日本と台湾の買いが活発でしたが、その中でもモネの「デュカール宮殿」を中心に積極的にビットした日本勢が話題になり、ウォールストリート・ジャーナルのブログではまるでバブル期の日本のようだったというコメントもありました。現代美術でもその傾向は続き、全般的に日本の活躍ぶりが印象的でした。
サザビーズ・ロンドンの印象派・近代美術イヴニングセールにて、オークションには初登場となるクロード・モネの「デュカール宮殿」が2,750万ポンド(約40億円)で落札され、その歴史的瞬間に多くの人々が立ち会い、会場は驚きと興奮に包まれました。この魅惑的なヴェネチアの風景画は、最近大好評を博したナショナル・ギャラリーの展示会「Monet & Architecture(モネと建物)」にて公開され、オークションではサザビーズジャパン代表取締役会長兼社長を含む3人が活発な競り合いを繰り広げ ました。
モネの「デュカール宮殿」のオークションの様子はこちらでご覧いただけます。
ウォールストリート・ジャーナルのケリー・クロー氏は「(今回の競り合いは)印象派・近代美術イヴニングセールにてシャガール、ピサロ、モネを求める日本勢が一昔前を彷彿とさせる大きな存在感を示しました。」とコメントしています。
他にも日本人が1959年作アルベルト・ジャコメッティの肖像画「Tête De Femme (Annette)」を330万ポンド(約4億8,180万円)で落札。オークション初出品となったシャガールが作家自身の制作を題材として活き活きと描いた「Le peintre à la fête (1982)」にはアジア人を含む5人からの応札で落札予想価格を上回る180万ポンド(約2億6,280万円)を記録しました。迫力ある大きさと作家の画力を存分に味わえるピカビアの「Atrata (1929)」は1974年以降ぶりにオークションに登場、これもアジア人を含む7人が激しく競り合いました。昨年11月のサザビーズ・ニューヨークでのドイツとオーストリア美術は引き続き好調で、今回もエゴン・シーレによる希少性の高い重要作品で、正方形のキャンバスに荒れ狂った海のその後を描いた「Triestiner Fischerboot (1912)」が1,070万ポンド(約15億6,220万円)の値を付け、またキルヒニャーの「Auf dem Bauch liegendes Mädchen」にもアジア人からの関心が入りました。